● 所蔵品から ● 資料ナンバー2174・2175 新聞の通販広告の話        資料班


大阪朝日新聞「グラヴュア・セクション」第2号 第4面

大阪朝日新聞「グラヴュア・セクション」第2号
1934年3月1日号 第4面
大丸百貨店の通信販売の広告

 大阪朝日新聞に、「グラヴュア・セクション」というのがありました。グラビア写真中心で4ページ。月1回の付録のようなものでしょうか。1色の印刷なのですが、インクの色が黒ではなくてこげ茶色とか深緑で、すこし華やかな見た目です。
 ピースあいち資料の中に、第2号(昭和9年3月1日号「春だ!」「弘法大師大遠忌」「けふいよいよ満洲帝国実現」)と第16号(昭和10年3月1日号「思い起こす日露の役」「3月のトピックス」)があります。

 「グラヴュア・セクション」の最終ページは、大丸百貨店の通信販売の広告になっています。
「大阪南区心斎橋筋1丁目」「大阪で最初の地下鉄連絡の百貨店」「御上阪の節は大丸へ」
 どんな物を売っていたのでしょうか。

 目立つ所に、着物(着物用の反物?)が出てます。今は新聞でカラーの写真はあたりまえにありますけど、これは1色刷りなのです。これで着物の色柄がわかるのか、これで注文する気になるのか、と、心配になります。
 よく読むと、「柄の一例」と書いてあります。御年令御通知願います、とか、御年令及び御好みを御申越(おもうしこし)願います、という案内があるので、色や模様はおまかせだったのでしょうか。老舗百貨店の大丸に選んでもらった着物というのは、どんなのが届くかわからなくても、魅力があったかもしれない、と思いました。

着物(反物)の広告

左(緑):1935年3月1日号 右(茶):1934年3月1日号

 着物の説明で、なんじゃこれは、と思ったのは、いちいち年齢が付いていることです。しかも細かい。20~24、5歳向けとか、20~23歳とか22歳前後、とか、どれだけ違うのかその1、2年で、と、突っ込みたくなります。年齢相応のよそおい、って、そんなに細かく厳しいものだったのか、と、ちょっとびっくり。どんなものが着たいとか、どういう趣味か、という事でなくて、年齢の輪切りで着る物が決まっていたのか。
 現在でもファッションの雑誌やデパートの洋服売り場は(すべてではありませんが)年代別になっています。変わらずに残っている部分はあるのかもしれません。

紳士服・靴

紳士物のコーナーより
左(緑):1935年3月1日号 右(茶):1934年3月1日号


 男子向けのものも、あります。
 紳士用の靴は、、つま先にエナメルが付いている「先エナメル付」の形がはやっていたみたいです。
 ワイシャツは、(ワヰシャツと書きます)襟が外れるようになっていて、替えの襟も付いています。襟だけを取り外して、洗ったりアイロンをかけたりすることができたのです。
 紳士服でも「合服三つ揃い」は、若向け、中年向け、老年向けという分類があります。男性向けでも年齢にはシビアです。分け方ははるかにおおざっぱですが。
 紳士服のモデル(イラスト)は二人とも手にタバコを持っています。かっこいい男性を表現するのにタバコが使われているところは、現在とは違うなあと思いました。

腕時計・文具・ランドセルの広告

腕時計・文具・ランドセル

 腕時計・ランドセル・万年筆などのコーナーもあります。3月1日号なので、入学祝い用に求める人も多いのでしょう。

ラジオの広告

ラジオ

 2011年7月号の「所蔵品から」でラジオを紹介しましたが、この広告でもラジオを売っています。「高級6球スーパーラジオセット」165円。
 165円ってどれくらいなのか。カタログに載っているほかの物と比べてみると…
 2円50銭のワイシャツだと66枚、15円の着物地なら11着分です。プレタポルテの紳士用スーツ(三つ揃いで27円50銭)は6着買えます。

詳しい画像はこちらからどうぞ。
http://www.peace-aichi.com/20120123_hyakkaten.pdf

ピースあいちホームページの「所蔵品の紹介」ページもごらんください。
バックナンバーの関連画像もあります。
http://www.peace-aichi.com/05_objects.html


〈おしらせ〉 現在(2012年2月18日(土)まで)開催中の寄贈品展には、「所蔵品から」で以前紹介した「通信訓練必携」(2009年12月号)・「真空管ラジオ」(2011年7月号)・「防火用水のかめ」(2011年9月号)が展示されています。この機会に、興味のある方は実物を見に来て下さい。